研究概要 |
平成5年度では,軌道・姿勢運動中の宇宙実験システム内の微小重力レベルを評価するために,まず,微小重力レベルの精密な推定法の定式化を行った.そして,特に,システムの形状・質量分布,外乱の大きさ,制御系の違いの影響を評価するために,剛体モデルを中心に,シミュレーション・アルゴリズムを開発した.また,構造振動による影響を加えるために柔軟付属物モデルを用いた数値シミュレーションも行った.さらに,この振動を抑制するために分散配置が可能なバングバングアクチュエータとその制御法の開発を行い実験した.一方,微小重力環境を地上で模擬するためのシミュレータ開発に関する基礎的な研究も併せて行った. その結果,機体の回転運動や重力傾斜トルクの影響が大きく,構造振動がなく制御系も理想的に動作している状態でも10万分の1G以下にはならないこと,宇宙機の全体形態,実験室の配置位置は,良質な微小重力環境を実現するための重要なパラメータであることなどが判明した.また,制御目的の違いによる影響も大きく,実験要求に応じるための制御法開発が重要であることがわかった.さらに,宇宙構造物の柔軟性に起因する構造振動が微小重力環境に対し最も悪影響を及ぼすことを定量的に評価した.また,バングバングアクチュエータによる振動制御の有効性を示した.そして,ドッキング時の模擬を正確に行うためには,システムの柔軟性を積極的に利用し制御することの必要性を明らかにした.
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