ロケットによって火星探査機(火星ローバー)を火星に軟着陸させ、自由に走行させながら火星の映像を地上に送信し、また車体に搭載した理学観測装置により数々の理学観察をするいわゆる火星ローバーの開発が現在世界的な注目を浴びている。火星ローバーは、1)著しく軽量化された構造、2)電力消費量の少ない駆動系、 3)凹凸のある火星表面に適応する高い対地適応能力、 4)自律移動性、等を必要とし、現存する走行車を単純に改造するだけでは決して実現できない。 本研究では、従来まったく試みられたことのない新しい菱形形態の4輪走行車を実際に2台試作し、地上走行実験と運動解析シミュレータで車体構造と運動特性の最適化を計り、実際の宇宙開発に使用できる火星ローバーを実現する基本的なデータを求めた。 第1次試作機は質量35kg、長さ×巾×高さが1100mm×900mm×500mmであり、球形で駆動系を内蔵したタイヤを装備していることを特徴としている。第1次試作機については多くの環境での走行実験を行いその特性を明らかにした。また、約250mmの段差を踏破するなど高い対地適応性が生成できること確認した。 第2次試作機は、質量70kg、長さ×巾×高さが1500mm×1000mm×500mmであり、新たに開発した4節機構を利用した餓鬼工車輪支持機構、展開型で金属性サスペンション機能を有するタイヤなどを装備している。このモデルは、機械的にロケットの内部では容積にして約1/2.5倍に縮小できるものであり、著しく火星ローバーの適する形態であるといえる。第2号機については最も基本的な走行実験を行うことまで出来た。また、その走行特性を解析するシミュレーションモデルをADAMS上に構築し、走行実験とシミュレーション実験でローバーの走行解析を実施し実用化の目処を立てることも出来た。
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