研究概要 |
平成6年度の研究実績の主な点は次の通りである。 (1)空間電荷蓄積の極低周波依存性(研究分担者:田中) 電力ケーブルに直流電圧を印加すると架橋ポリエチレン中に空間電荷が蓄積される。これに対し、交流電圧印加では空間電荷の蓄積は観察されない。そこで、高電圧増幅器(補助金による購入設備機器)により直流と交流の間の周波数(0.01Hz,0.05Hz,0.10Hz,0.5Hz,1.0Hz,5.0Hz,10Hz,50Hz)の高電圧印加したときの電荷蓄積特性を測定した。架橋ポリエチレンの場合、0.5Hzくらいから電荷の蓄積が始まる特性を得た。次の段階として、直流用電力ケーブルに開発された架橋ポリエチレンの電荷蓄積の周波数特性を求めて行くことが必要になった。 (2)圧力波の減衰と歪の補正(研究分担者:高田) 高い周波数成分を持つパルス圧力波は、高分子絶縁材料中を伝搬するとき粘弾性損失のために減衰するので、正確な電荷蓄積分布の測定は困難である。そこで、パルス圧力波が高分子絶縁材料中を伝搬するときの伝達関数を測定し、その伝達関数を使ってデコンボリュウション法のデータ処理を行い、歪み波形を補正して正確な空間電荷分布を算出する。その結果、測定位置分解能を5%に向上させることが出来た。次の段階は、デコンボリュウション法は厳密な計算法であるので、伝達関数をコンピュータ・テーブルにまとめた近似法を開発して行くことが必要である。
|