前年より引続き、(1)デジタルエッチングのためのフッ素(F)/Si単原子層反応と、(2)擬一次元細線pn接合形成の研究を行った。 (1)RAS(反射吸収分光)とXPS(X線光電子分光)の結合システムを作製し、F原子と水素終端Si(111)表面との常温での反応をin-situ測定した。その過程で、F原子暴露量と共にSi-Hは5000Lまで減少して飽和するが、F原子はその間はSiと反応せず5000Lから急にSi-F1結合が形成すること分かった。そこでSi-H(2083cm^<-1>)をATR(減衰全反射)で調べたところ、F暴露と共にSi-Hの高波数側に、FがSiの格子間に入ったために生じたと考えられる新たなSi-H伸縮が現われ、水素がSiFHとして除去されたと考えられる。25000KまではSi-F1結合が飽和するが、これは自己停止反応なのか、原子層毎の除去かは現在は分からない。 (2)擬一次元細線は、まずSIMOX基板を0.1μm程度のSi層に、EB描画及びRIEによりSi細線を形成し、下地SiO2を除去して細線を宙に浮かせ、熱酸化によりSi細線を細らせた。この細線に高濃度n型形成とPN接合形成の二種を作製した。線幅の異なる二種類の細線について4.2Kでの磁気抵抗を比較したところ、幅5μm、長さ5μmの細線では、弱極在を反映すると思われる明瞭な負の磁気抵抗が観察され、また幅0.24μm、長さ0.4μmの細線では、弱磁場では弱い正の磁気抵抗が観察された。一方、線幅50nmの微細PN接合の室温でのI-V特性の測定では、2.5V以上では発振が起き、明らかな負性抵抗特性を示してた。また、線幅120nmの細線PN接合の100KでのI-V特性では。0.45V付近、および0.9V付近にテラスが現われており、複雑な屈曲を示しているが、この理由はまだ十分明らかではない。なお微細PN接合に関しては提案した微細Si柱も並行して検討していく。
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