研究概要 |
マイクロ波励起有機金属気相成長法により、InN単結晶薄膜を始め、GaNおよびInAlNについて成長実験を試みた。InN単結晶薄膜の結晶性改善のため、アニールを行い、X線ロッキングカーブ半値幅の大幅改善を確認するとともに、サファイア基板上におけるエピタキシャル成長方向をX線・電子線回折により決定した。また、将来のオプトエレクトロニクスへの応用を考えた場合、サファイア基板に代って半導体結晶上への成長が不可欠となるが、今回GaP(111)およびGaAs(111)面上への成長を試み、単結晶薄膜を得た。成長直前の窒素プラズマ照射をわずかに試みることが必要であることが判明し、XPS測定によれば、基板表面が窒化されており、バッファ層が形成され、格子ミスマッチが緩和されていることが考えられる。GaAs(100)面上では通常の六方晶とは異なる立方晶InNが得られる場合も多々見られ、今後この条件を明らかにし、基礎物性を究明する必要がある。立方晶InNの単結晶薄膜は未だ報告はない。将来のデバイス作製時には、結晶表面の熱的安定性が問題になろうが、真空および窒素雰囲気中での高温加熱による表面構造の変化を明らかにするとともに、また、アニールによる表面構造の変化を走査トンネル顕微鏡により、追究した。さらに、InN薄膜の基礎特性の一つとして微少硬度を測定した。バンドギャップの温度依存性を液体ヘリウム温度から室温に到る範囲で測定した。InN,GaN,AlNの窒化物半導体は、他のIII-V化合物半導体に比べ、相対的変化は小さいことが判明し、良好な温度依存性を有するデバイスが作製できる可能性がある。これらのデータはすべて公表している。
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