研究課題/領域番号 |
05452196
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
後藤 俊夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023255)
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研究分担者 |
岸本 茂 名古屋大学, 工学部, 教務職員 (10186215)
河野 明廣 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40093025)
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キーワード | 銅 / 準安定原子 / 電子衝突脱励起 / 飽和吸収分光 / 銅蒸気レーザー |
研究概要 |
前年度の銅基底状態原子及び準安定原子の拡散係数の測定に続き、本年度は準安定原子の定常放電中の新しい寿命測定法を開発し、銅蒸気レーザー下準位である銅準安定原子の寿命測定を実際に行った。測定系は、通常、ドップラーフリー飽和吸収分光計測に用いられる系に若干の変更を加えたものである。ドップラーフリー飽和吸収分光では、狭帯域レーザーのビームを2分して、互いに逆方向から媒質を照射し、一方のビーム(ポンプ光)が媒質に与えたホールバーニングを他方の弱いビーム(プローブ光)で検出する。2つのビームの進行方向が逆であるため、レーザー周波数が吸収ラインプロファイルの中心近くに同調している時のみホールバーニングが検出でき、ドップラーフリーとなる。しかし、準安定原子のような寿命の長い原子では、衝突によりその寿命内に速度分布の緩和が起こり、ホールが埋められてしまう。従って、線中心に同調したポンプ光でも、等価的に速度分布全体にわたって原子を励起する。このような状況で、ポンプ光による励起が引き起こす定常放電中の準安定原子密度の減少をプローブ光で検出し、レート方程式解析と組み合わせて、準安定原子の寿命を導くことができる。Neの2P^53s電子配置の準安定準位及び非安定準位からの吸収遷移については飽和吸収分光測定を行い、実験に用いた数Torrの圧力において、準安定準位にはホールバーニングが生じないことが確かめられた。また、銅準安定原子(^2D_<3/2>)からの吸収線についても同様であった。レート方程式解析と組み合わせて銅準安定原子の放電中の寿命を決定し、数μsの値を得た。寿命は放電電流の増加とともに減少し、寿命が電子による脱励起により決まっていることが確かめられた。本研究で確立した寿命測定法を電子密度・温度測定と組み合わせることにより、準安定原子の電子衝突脱励起速度定数を導くことが可能になる。
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