研究概要 |
本年度は,前年度の多次元適応信号処理システムに関する基礎的検討結果に基づき,2次元再帰的適応フィルタのアルゴリズムの構築とその実験的評価,ならびに超高並列プロセッサのアーキテクチャに必要な実現手法の検討を行った. 1.本研究者らが提案している並列完全分離形2次元適応フィルタのアルゴリズムをワーク上に実現し,その計算量・処理能力を詳細に評価した.その結果,従来のLMS法によるFIR形2次元適応フィルタでは,フィルタ次数をnとすれば,O(n^2)〜O(n^3)の計算量であるのに対して,本手法ではO(n)〜O(n^2)の計算量となり,計算量が激減することが確認された. 2.並列完全分離形2次元適応フィルタにより2次元システム同定と画像雑音除去を行った.計算量(乗算回数)が同一であるという条件の下で,システム同定の実験では,本提案法は,従来法に比べて収束速度が速く,また残留誤差が少ないことが確認された.また,画像の雑音除去では,従来法に比べて,約2dB向上することが確認された. 3.集積回路中における信号の振幅変調を利用するウェーブパラレルコンピューティングアーキテクチャを提案し,完全並列画像処理に適用した.その結果,従来の1/r(rは信号の多重度)の配線数で同等機能の信号処理システムを実現可能であることがあきらかとなった.
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