研究概要 |
本年度は最適構造の探求を行なうとともに結合系の基本構造を試作して解析を行なった.この結果,本研究が目指した結合系が基本的に高効率,大きなトレランスを有することが解明できた.主な成果を以下に示す. 1.最適構造の解析 波動論に基づきレンズドファイバ先端形状およびコア消失長などの解明を行った.その結果,最適形状は幾何光学的に求めた結果と一致し,また,近似的には回転放物面,さらには近軸近似下では球面で表せることを明らかにした.また,ビーム伝搬法による数値シミュレーション法の開発を行い,より複雑な形状や軸ずれ,傾き等に対する結合効率評価が可能となった.これにより,最適形状探求のためのツールを得,次年度にはより完成度の高い構造の発見が期待できるようになった. 2.基本結合系の試作 市販の通信用石英系単一モード光ファイバを熱処理によりコアを消失させ,さらにその先端を放電加熱により半球面状に加工することにより,半導体レーザとファイバとの結合系を試作した.波長1.48μmの半導体レーザ光を用いた測定の結果,結合損失4dBを得た.この値は,従来の大形のバルクレンズ系と同等の効率であり,本構造の有効性が実証できた.しかも,この時のレーザとファイバ半球端との距離は120μmであり,従来のレンズドファイバの値と比べて一桁以上も拡大している.この結果,これまで問題になっていたレーザとファイバとの接触の危険性が解決できた.同時にトレランスを評価した結果,軸方向31μm,横方向3μm(結合効率4〜5dB以内)という大きな値を得,従来より大幅に拡大できた.
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