研究概要 |
研究目的である直径数ミクロン程度までの粒子群を形状・寸法ごとに瞬時に識別するためには、1個ずつの粒子からの光回折パターンを鮮明に得る必要があるが、従来はこれが困難であった。本研究では顕微鏡の載物台の下からHe-Neレーザ平行光を照射し、載物台上の粒子1個ずつの光回折パターンを同時に得ることのできる特殊な顕微鏡光学系を新たに開発できた[未発表]。また、これらの光回折パターンを多重マッチトフィルタ法で瞬時識別するために写真乾板の代わりに光導電プラスチックスを用いたホログラム迅速作成装置を完成させ[成果(1)]、多重マッチトフィルタ法で光回折パターン群から1個ずつの粒子の形状・寸法を同時実時間測定する方法を確立した[成果(2)]。このとき、ビデオ撮影で液晶ディスプレイ上に写しだした被識別物体像を空間光変調素子でインコヒーレント・コヒーレント変換して画像識別する方法を開発し、実時間並列識別光学システムを構築した[成果(1)]。そして物体形状識別の確度を上げるためにニューロコンピューティングシステムを組み込んだ識別眼の開発が行われた[成果(1),(3)]。なおニューロコンピューティング回路は光アナログ系だけで構成するまでに至らずハイブリッドにとどまっている[成果(3)]。粒子を形状・寸法ごとにレーザー光圧力で光マニピュレートする方法をローレンツMie光散乱理論でシミュレートし、また、空気中及び水中での粒子捕捉実験を行ない検討した結果、その可能性が明らかになり、新技術分野が開拓できた[成果(4),(5)]。形状識別眼と遠隔操作用光学系を組み込んだ顕微鏡システムを改良し、形状識別しながら粒子の光マニピュレートが可能なシステムを構築して、疑似血球粒子や液晶スペ-サ粒子の分別実験を行った。球形スペ-サ粒子は容易に寸法ごとに自動的に光分別できる[成果(4),(5)]。不規則形状のミクロンサイズ粒子は現段階では形状ごとに自動的には光マニピュレートできない。なお、形状ごとに粒子をマニピュレートした場合の粒子挙動の明確な識別法が開発された[成果(6),(7)]。
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