研究概要 |
当該年度の実績は、以下の2点に集約される。 1.質量・エネルギー・運動量の生成保存と連成移動に関する一般化熱力学方程式の構築 a)鉱物組成と自由水量を考慮したセメントの水和反応モデル,b)骨材・セメントペースト及び骨材界面における細孔中の水分移動と質量交換モデル,c)細孔における表面エネルギーモデルの3者を統合する一般化熱力学方程式の構築を行った。本年度は,質量・エネルギー・運動量の3者全てを,コンクリート微細孔中の環境において一般化することが主眼であった。さらに,構築した一般化方程式を,コンクリート表面での境界条件下において解析するための数値プログラムを,3次元空間に対し開発し,熱力学的に妥当な解を与えることを確認した。 2.一般化熱力学方程式の検証 以下に掲げる実現象を実験的に計測し,これを数値解析によってシュミレーションし,提案した一般化熱力学方程式の検証を行った。これにより,本一般化方程式の精度と適用範囲を把握した。 a)骨材中に空隙を有する人工軽量骨材を使用したコンクリートの乾燥経路と体積収縮 b)絶乾状態のコンクリートに対する液状水,並びに有機液体の吸収過程 c)湿潤状態のコンクリートに対する,窒素ガスの透過抵抗特性 d)一面を真空状態に保ち,他面を液状水に浸した状態での水分移動と温度勾配 e)一日養生後に,実環境に晒したコンクリートの温度分布と含水量分布
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