研究課題/領域番号 |
05452229
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
小林 一輔 千葉工業大学, 工学部, 教授 (10013096)
|
研究分担者 |
森 弥広 千葉工業大学, 工学部, 講師 (20083884)
宇野 祐一 ショーボンド建設(株), 化学研究所, 課長
|
キーワード | 酸性雨 / コンクリート / C-S-H / 細孔溶液 / 中性化 |
研究概要 |
酸性雨によるコンクリートの劣化が基本的には細孔溶液のpHの低下に伴うC-S-Hの分解によることを実験的に明らかにするとともに、これを酸性雨の影響を受けたコンクリート構造物から採取した試料の化学分析を通じて確認した。一般に、C-S-HはpHの値が11付近以下になると不安定になり、分解を加速すると言われている。このことを確認するために人工的にひびわれを入れたコンクリート供試体のひびわれ部分からNO_3及びSO_4^2を含む酸性溶液を流入させ、滴下溶液中のSiの分析ならびにpHの測定を行った。その結果、pHが11前後から滴下溶液中のSiの濃度か急激に増大することが認められた。一方、酸性雨の影響を受けたコンクリート構造物から採取した試料を用い、重液分離法によってC-S-Hの分解を調べた結果、表面から10mmまでの部分ではC-S-Hが完全に分解しており、また表面から10〜20mmの部分では健全部分の約1/2程度のC-S-Hが検出されるに止まった。これらの部分でのいずれも中性化している部分であり、細孔溶液のpHは明らかに11以下になっている部分である。以上から室内実験を通じて明らかにされた知見、即ち、酸性雨によるコンクリートの劣化が細孔溶液のpHの低下に伴うC-S-Hの分解によるものであるという知見が、屋外において酸性雨の影響を受けたコンクリートの分析を通じて確認することができた。なお、C-S-Hの分解を生じている部分において,NO_3及びSO_4^2がどのようにセメント水和物と結合しているかという点に関してもX線回析試験またはEPMAによる状態分析などを通じて検討を行い、新しい知見を得た。
|