研究概要 |
平成6年度末までに得られた成果は以下の通りである。 1.既往の長大橋梁の設計実例調査を実施し、設計の中に占める風の影響が、支間の長大化に伴って大きくなることを確認した。また、これら風の影響の中で、設計に直接影響する現象を特定するために、中央支間2,500m〜4,000mの試設計案を作成し、これらの案に対して、a)フラッター解析、b)ガスト応答解析およびc)座屈解析を行った。その結果として、中央支間2,500mを越える超長大橋においては、フラッターに対する安定性が大幅に低下する。このフラッター現象を設計風速以上に高くするための諸方策が不可欠となることが明らかとなった。 2.フラッター解析に必要な橋梁断面の空気力特性を表す非定常空気力係数の計測を行うために、本学土木工学教室所属の風洞施設で風洞試験を行った。解析の結果、非定常空気力係数は、自由振動法風洞試験により概ね良好な精度で同定することが可能となった。 3.改良試設計案に対するフラッター解析の結果、1)剛性の増加により振動数を向上させる耐風安定化対策は超長大吊橋では効果が低下すること、2)超長大橋においては風作用下の振動モード形を積極的に制御することが効果的な耐風安定化対策につながること、3)前述の振動モードの制御の評価には、本研究で導いた'空気力が構造物に為す仕事'がよい指標となることが明らかになった。さらに、幾つかの試設計案に対し本研究における設計法の検証を行い、その有効性を確認した。 平成5年度より2年間の本研究において、長大吊橋の構造特性の把握および加振/減衰力の評価によるフラッター発生メカニズムと風作用下の振動モード形との関係の解明はほぼ達成できたものと考えるが、これを積極的に実設計の場に反映するためには多くのパラメータ解析を含め、今後検討の余地があり、さらに精力的に研究を継続する予定である。
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