研究概要 |
1.条件付確率場の理論を構築し,これまで行ってきた定常・一様性の仮定のもとでの条件付確率場の理論を体系化するとともに,それを非定常・非一様の場における条件付確率場に拡張した。 2.確率場のスペクトル特性が事前に与えられているとした場合の条件付確率場のシミュレーション法を開発した。また,空間内で対象とすべき地点の数が非常に多い場合に問題であった,計算の安定性についても,相関を考慮する範囲を限定することで,行列の次数を小さく抑えて計算を行うという近似的なシミュレーション法を開発する事により,計算の安定性ばかりでなく速度も飛躍的に向上させることができた。 3.不確定地盤を伝播する地震波動場のスペクトルに関する既往の研究成果を取り入れて,地震波動場の確率論的な評価を行った。 以上が主な研究成果であるが,それに加えて,事前に与えられているものとしているスペクトルを観測記録を用いてリアルタイムに推定し,かつ事前のスペクトルの推定値を更新するという手法について,その概念構成をおこなった。基盤でのスペクトルを確率統計的手法により観測値から推定し,地盤のパラメータを用いて波動論的な考察に基づいて地表面でのスペクトル特性を推定するという基本的な考え方にたち,地盤のパラメータは観測毎に更新していくことでその精度を高めるというものである。基盤におけるスペクトル特性については条件付確率場の理論を応用することで確率論的に内挿する手法を検討中である。また,地盤パラメータの更新についてはベイズ更新過程を拡張したカルマン・フィルターによって定式化できることを確認している。
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