| 研究概要 |
鉛直2次元断面内の流速分布の把握に向けて高速カラービデオ画像の平面相関解析技術を整備し,急激かつ非可逆的な流体運動のメカニズムを調べることが本研究の目的である.本年度前半にハードウェアの再調整を行ない,可視化・照明等の技術も向上した結果,画像の質は大幅に改良された.得られた流速場の精度および信頼性は,連続式の満足度から確認された.3年計画の最終年度を控え,現時点で暫定的に到達している結論を列記すると,次の通りである.
(1)解析に適したカラー画像を得るには,多色のビーズの投入による可視化が望ましく,併せてかなり強度の照明が必要である.
(2)3色のデータを有効に活かすには,各色個別の相関値を総合するより,ピクセル毎のデータの段階で3色直列に結合して部分画像のデータセットとし,全体同志の相関値を判定基準として用いる方が信頼性が高くなる.
(3)階調データ段階でのフィルター操作は,精度と信頼性の両面で一長一短の効果があるが,実用上は行なわざるを得ない.
(4)圧力勾配の著しく低下する領域が波頂付近に現れる.これは,Lagrange表記に基づく数値解析によっても追認され,砕波現象の本質に関与するものと推定される.
(5)異なる入射波および地形条件下での砕波現象を比較すると,上記領域の分布に差があり,これが砕波形態の差異に結びつく可能性が高い.
(6)得られた流速場から渦度の分布を算定したところ,波頂背後の水面下に大きな渦度が検出された.現時点ではこの結果に確信が持てず,公表を躊躇したが,昨年末の関連学会で長尾らにより類似の試算図が提示された.この点については,次年度も引き続き検討して行きたい.
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