研究概要 |
平成6年度は,都市キャノピ-内の熱収支を把握するため,東京工業大学キャンパス内の建物密集地において気象観測を行い,ヒートアイランドが形成されている状況下における気象データおよび熱収支データを得た.さらに平成5年度の観測の成果および平成6年度の観測の成果を基にして,都市域における水面および緑地の影響を定量的に評価する数値モデルを構築し,それによる数値シミュレーションを行った.それによって以下の諸点が明らかになった. (1)都市キャノピ-内の夏季における温度および湿度の上昇は,主として建物による風の遮蔽効果によることが気象観測により示された.その温湿度の上昇は,今回の観測では0.5℃および0.4g/m^3程度であった. (2)樹木キャノピ-内では都市キャノピ-内より低温となるが,これは主として植物の蒸散によるものであることが観測結果から示唆された.温度の低下は,今回の観測の場合,0.5℃程度であった. (3)観測の結果を基にして,都市域に配置された水面と緑地帯の効果を定量的に見積もりうるモデルを構築し,数値シミュレーションを行った.その結果,温度の緩和には水面を小面積に分割して,数多く配置するのが効果的であることがわかった.また,このモデルを用いる事で,都市気象の緩和に効果的な水面,緑地帯の配置を合理的に設計しうる可能性が示された.
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