研究課題/領域番号 |
05452245
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 良嗣 名古屋大学, 工学部, 教授 (00133091)
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研究分担者 |
奥田 隆明 名古屋大学, 工学部, 助手 (40233457)
富田 安夫 神戸大学, 工学部, 講師 (60237120)
森川 高行 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30166392)
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キーワード | 国土政策 / 土地制度 / 交通社会資本 / ポリシーミックス / 地域計量モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、地域間交通社会資本整備のあり方を土地制度を含めた土地システム全体の中で捉えていくために、まず、これらの複合効果について事例分析を行なうと同時に、これを定量的に分析するための計量モデルを開発することにある。 本年度の研究では、まず、ドイツの空間整備政策とわが国の国土政策について、統計データを用いてその効果を比較分析し、次の点を明らかにした。わが国では戦後になってようやく高速道路整備が開始され、産業構造の転換期にはその幹線ネットワークすら完了していなかったため、相対的に交通利便性の高い首都圏を中心として地域構造が再編されていったこと。これに対し、ドイツでは第2次世界大戦前に既に幹線となるアウトバーン整備を終え、戦後はこれを基盤として地域的に均等な整備を進めてきたため、産業構造の転換期には素材型産業を中心としたルール地方から加工組立型産業を中心とした南部地方へと産業の中心がシフトしていったこと。さらに、わが国では戦後の経済の立ち上がりの時期に、大都市部から地方部への行政投資が地域間格差の是正に効果を発揮したこと。しかし、所得水準が上昇し、地域間交通網の整備により地域間分業が進展する中で、こうした行政投資の効果も従前ほど顕著なものでなくなってきていることなどを明らかにした。 また、これらの複合効果を分析するための地域計量モデルについても研究を進めてきた。わが国のような市場経済をベースとする経済システムを採用する国では、市場における価格が重要な役割を果たすため、これを組み込んだモデルが必要となること。地域間交通社会資本整備や土地制度の変更などは地域経済に大きな影響を及ぼすため、従来より地域経済の分析に用いられてきたエコノメトリクスには限界があり、経済主体の行動原理や市場メカニズムを組み込んだモデルが必要となること等を明らかにした。また、具体的なモデル化にも取り掛かり、次年度に引続いて研究を進める予定である。
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