研究概要 |
平成5年度は,地震防災を考える上で必要となる各項目をオブジェクト指向の立場で分析し,EWS上でのオブジェクト指向による分析・開発を可能とする環境を整備した.まず,地震防災に関連する各項目を,データならびに付随する機能から構成されるオブジェクトとして独立させ,各項目間の関係をオブジェクトモデルによって明確にした.このオブジェクトモデルをベースとして,地震防災予測システムのクラス階層の枠組を作成した.また,EWS上でオブジェクト指向プログラム開発ならびにオブジェクト指向データベースを利用できる環境をEWSのネットワーク上で実現すると共に,本研究に必要となる種々のフリーウェアソフトの導入を図った.この環境を利用して,現在は,外部導入の各種のデータ(数値地図情報,名古屋市域のボーリング・土質・PS検層データなど)をEWS上で利用できる体制を整えつつある.さらに,オブジェクト指向による有限要素解析システムのパイロットプログラムを作成しつつある. 当初,平成5年度に予定した研究内容の8割程度は実施可能な状能にある.しかし,各種データの購入・導入が予算の都合上遅れたため,データベースのオブジェクト指向化には至っていない.しかし,平成6年度に行う予定であった解析システムの分析・設計が進み,静的解析のレベルではあるがパイロットプログラムの実装が進んでいる. 研究対象が非常に広範にわたるため,全体構造の分析に試行錯誤が繰り返され,多大な時間を要することが明らかとなってきた.しかし,すでに実装された部分については,オブジェクト指向の適用の有効性が証明されつつあり,従来のアプローチと比較して,柔軟性に優れ,多分野知見を有機的に結び付けることが可能であることが明確となってきている.
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