研究概要 |
前年度は鋼管コンクリート短柱および中空鋼管短柱試験体に一定軸方向変位振幅での繰り返し軸力載荷試験を行い,3種類の軸方向変位振幅,3種類の鋼管の径厚比,コンクリート充填の有無に対する局部座屈の発生時期と亀裂破断の発生時期に関する実験値を得た。本年度は,鋼管コンクリートの中・長柱(細長比30と60)の試験体の繰り返し軸力載荷実験を行い,曲げ座屈と局部座屈の連成効果を調べると共に,複合非線形解析によるシミュレーションを行った。この結果,以下の成果が得られた。 1.局部座屈は,部材中央付近の断面で曲げ座屈変形で曲げ圧縮側になる部分に生じるが,細長比によって軸方向変位と曲げ座屈変形の歪の組み合わせが変化し,局部座屈およびそれに引き続く亀裂破断までの荷重の繰り返し数は,細長比の関数で表される。 2.筆者らによって開発された有限要素法による複合非線形解析によっておおむね実験挙動が予測できた。 3.鋼管の亀裂破断に至るまでのエネルギー吸収能力の評価式を実験結果から求めた。また,これに対する理論的検証を2.の解析により行った。
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