研究課題/領域番号 |
05452257
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
西川 孝夫 東京都立大学, 工学部, 教授 (30087275)
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研究分担者 |
山村 一繁 東京都立大学, 工学部, 助手 (30220437)
見波 進 東京都立大学, 工学部, 助手 (00219693)
北山 和宏 東京都立大学, 工学部, 助教授 (70204922)
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キーワード | 鉄筋コンクリート / 骨組 / 崩壊モード / 引張り軸力 / せん断 / 柱 / 靱性 / 耐震 |
研究概要 |
強震を受ける鉄筋コンクリート(RC)建物の崩壊機構として、梁端および1階柱脚に降伏ヒンジの生じる全体崩壊形が望ましい。このとき外柱および隅柱には地震力の方向によって引張り軸力あるいは圧縮軸力が生じ、時間経過とともに軸力の大きさは刻々と変化する。この軸力変化の範囲は建物が高層になるほど大きくなる。ところが引張り軸力までを含めた変動軸力下における、柱の曲げとせん断との相関、せん断挙動および主筋の付着性状についてはほとんど検討されていない。1階柱脚でのせん断破壊や付着割裂破壊を防止することは非常に重要で、これによってRC建物の動的崩壊モードを制御できる。そこで、引張り軸力を受けるRC柱に正負交番逆対称曲げせん断載荷する実験を行なった。試験体は全4体で引張り軸力(0、22.5tonfおよび45.0tonf)およびせん断補強筋量(0.43%および0.21%)を変数とした。柱断面は300mm×300mmで、主筋には高強度鉄筋(16-D13、降伏強度8850kgf/cm^2)を用いた。試験区間の内法長さは600mm(せん断スパン比は1.0)とした。引張り軸力50tonfを載荷した状態で、主筋の曲げ降伏や付着割裂破壊を生じることなく、せん断破壊が先行するように試験体を設計した。コンクリート強度は222〜247kgf/cm^2、せん断補強筋(D6)の降伏強度は4030kgf/cm^2であった。実験の結果、せん断破壊性状に大きな違いは見られなかったが、引張り軸力の大きい試験体ほどせん断ひびわれが急激に進展する傾向を示した。全試験体とも層間変形角1/100radでせん断強度に達した。引張り軸力が大きくなるほどせん断強度は緩やかに低下し、引張り軸力22.5tonfの試験体では軸力なしの試験体の95%、引張り軸力45tonfの試験体では93%であった。逆に、引張り軸力が大きくなるほど靱性は向上した。また、せん断補強筋量が少なくなるほどせん断強度は低下し、補強筋比0.21%の試験体のせん断強度は補強筋比0.43%の試験体の強度の76%であった。
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