(1)光井戸タイプの自然温度型アトリウムの一年を通した熱環境の実態把握 北海道留萌合同庁舎、石狩町役場庁舎は、屋根面が硝子という光井戸タイプのアトリウム空間を持ってる。両アトリウムとも事前に排煙窓の開放による最上層の温気溜まりの解消を計画していた。夏期、中間期の排煙窓の開放による熱環境の調整効果と共に冬期(最寒期)の温度分布や輻射温度分布の測定を行い熱環境の実態を把握した。 (2)熱対流型換気を考慮した大規模吹き抜け空間の垂直温度分布の数値解析 石狩町役場庁舎は、光井戸タイプのアトリウム空間を持ってるが、その実測と数値解析の比較検討を行った。数値解析では、垂直温度分布に与える、冬期、中間期、夏期という季節の変化、夏期、中間期で排煙窓の開閉の効果、晴天、曇天という天候(日射量)の差異について検討している。その解析法は、戸河里博士の開発したボックスモデルに改良を加えたものであり、腰壁、下がり壁のある垂直壁で構成された吹き抜け空間の温度分布解析可能になる。 (3)模型空間を用いた熱対流型換気による換気量と垂直温度分布の推定15EA06:アトリウム空間の夏期の温度の滞留解消のためには、最上層でその温度を排出しなければならない。その様な環境調整の効果を計画時に検討するための直接的で簡便な方法として模型解析がある。模型実測結果を実大規模の空間に適用するには、熱対流換気時の排熱換気の実態と換気量に関する模型則の成立条件を把握する必要がある。ここでは、トレーサーガスをパルス状に放出した場合の到達濃度と換気量の関係を明らかにすると共に、1:2の模型実測、1:4の模型実測の結果から模型則の成立条件を整理した。
|