アモルファス磁性人工格子の膜面垂直磁気抵抗を利用した材料開発と物性研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05452283
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 藤森 啓安 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60005866)
• 研究分担者: 森田 博昭 山形大学, 工学部, 教授 (50005914) ; 三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20250813) ; 小尾 俶久 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005925) ; 高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00187981)
• キーワード: 人工格子 / 巨大磁気抵抗 / 軟磁性 / アモルファス / SQUID / 微小電圧測定 / スパッタ / 膜面垂直抵抗

研究概要

本研究では、最近注目されている金属人工格子の巨大磁気抵抗効果について、その応用上の観点から磁気抵抗の磁場感度の向上を図るために、軟磁性であるアモルファス磁性合金を基にし、かつ、アモルファス合金のような比抵抗の高い場合でも巨大な磁気抵抗が期待できる垂直方向磁気抵抗効果を利用した新しいタイプのアモルファス基高感度巨大磁気抵抗人工格子の作製とその物性並びに特性評価の基礎研究を行う。
本年度は、そのための基礎実験を行った。まず、人工格子薄膜の膜面垂直方向の電気抵抗を精度良く測定するために、マルチファンクションSQUIDプローブを用いた極微小電圧測定装置の製作を行った。現在、組み立てが完了し、目的の感度を得るための細部の調整と自動制御のためのコンピュータソフトの開発を行っている段階である。一方、CoNbZr軟磁性アモルファス合金と硬磁性GdCo合金を組み合せて、巨大磁気抵抗効果に必要な磁化反結合型人工格子の作製をスパッタ法により行っている。現在、保磁力10e以下で磁化が平行から反平行に結合換えするための人工格子周期、膜厚、スパッタ等の条件を詳細に実験中である。
これと平行して、巨大磁気抵抗効果に関してFeCrグラニュラー合金薄膜の磁気抵抗と構造を調べた。その結果、200〜400℃に加熱した基板上にスパッタ蒸着した薄膜は、Cr中に微細なFeクラスターが分散したグラニュラー構造となり低温で約20%の大きな磁気抵抗を示すことが分かった。
来年度は、これらの基礎実験を基に初期計画の本格的実験に入る。

研究成果

• [文献書誌] Salah A.Makhlouf,K.Sumiyama,K.Wakoh,K.Suzuki,K.Takanashi,H.Fujimori: "Giant magnetoresistance of Fe-cluster-disprsed Ag films" J.Magn.Magn.Mater.126. 485-488 (1993)
• [文献書誌] H.Fujimori,N.Hasegawa,K.Kataoka,S.Nagata,S.Yamaguchi: "Thermal stability of nanocrystalline multilayered structure in soft-magnetic Fe/Fe-Hf-C films" J.Magn.Magn.Mater.121. 42-45 (1993)
• [文献書誌] K.Kataoka,K.Saito,H.Fujimori: "Magnetoresistance of Co-X/Cu multilayers" J.Magn.Magn.Mater.121. 383-385 (1993)
• [文献書誌] K.Kataoka,K.Saito,H.Fujimori: "Magnetoresistance of Co_<90>Fe_<10>/Cu/CoxFe_<100>-x/Cu metallic multilayers" J.Magn.Magn.Mater.126. 508-509 (1993)
• [文献書誌] S.Ohnuma,H.Fujimori,N.Yano,S.Furukawa,S.Fujii,T.Masumoto: "Soft magnetic multilayers for micromagnetic devices" J.Magn.Magn.Mater.126. 556-562 (1993)
• [文献書誌] N.Kobayashi,T.Shima,N.Kataoka,H.Fujimori: "Effect of Magnetic Annealing on Soft Magnetic Properties of Fe-Si-B-Nb-Cu Multilayers" J.Magn.Magn.Mater.129. 302-306 (1994)