| 研究概要 |
遷移金属および希土類元素を含む種々の合金,すなわち,Al-Zr,Al-Zr-Ti,Al-Li-Zr,Al-Zn-Mg-Zr,Al-Zn-Mg-Sc,Al-Zn-Mg-Y,Al-ScおよびAl-Y合金を水冷銅鋳型を用いたチルキャスト法およびDCキャスト法により作製した.これらの合金の高温における時効析出挙動,分散析出粒子の形成・分散,熱的安定性について,硬さ試験,電顕組織観察,EDX分析,熱測定を行い,検討した.ZrおよびScを含む合金ではLl_2型規則構造をもつAl_3ZrおよびAl_3Scの微細析出により高温で時効硬化し,さらに,再結晶抑制効果が大きいことを明らかにした.また,各合金について再結晶の活性化エネルギーを評価した.さらに,高温時効温度に至るまでの昇温速度の制御,微量元素の添加により分散析出粒子の分散状態を制御できることを明らかにした.また,本研究で設置した高感度示差走査熱量計を用い,昇温中の析出・溶解挙動に対応するわずかな熱量変化を明瞭に捉え,各相の熱的安定性を評価した.
他方,軽量合金であるMg-Y合金を溶製し,時効硬化,耐熱性,析出組織について硬さ試験,圧縮試験および透過電顕観察を行い検討した.また,高感度示差走査熱量計を用い,種々の相の析出・溶解を調べ,さらに,X線回折用高温装置を用い,Mg-Y合金の格子定数の温度依存性を調べ,耐熱性との関連性について検討した.Mg-Y合金では準安定規則相(DO_<19>型構造)およびβ'相(bco構造)が析出し,顕著な時効硬化を示し,また,実用Mg-Al-Zn合金に比べMg-Y合金は耐熱性に優れることを明らかにした.これは,析出相の熱的安定性が高いことおよび高温でも交差すべりが起こりにくいことによることを明らかにした.さらに,高温X線装置による構造解析および他の希土類元素を添加した合金についても現在系統的な検討を行っている.
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