50at%前後のAlを含むTiAl/Ti_3Al二相合金を通常の溶解鋳造法によって製造すれば、TiAlとTi_3Alのラメラからなる二相ラメラ構造を持ったインゴットが得られる。このようにして得られるラメラ構造に含まれるTi_3Alラメラは、一般に非常に薄く、両側のTiAlラメラを含めたTiAl/Ti_3Al/TiAlサンドイッチ構造は、界面化合物形成を伴う界面の好例である。そこで本研究では、まずこのサンドイッチ構造について研究した。Ti_3Al相はTiAl相に比してはるかに高強度であり、それが故にTi_3Al相とTiAl相の間に大きな塑性不適合が発生し、TiAl/Ti_3Al/TiAlサンドイッチ構造の脆さ、特に、サンドイッチ界面に垂直に応力が負荷されたときの脆さの原因となっている。我々は、さまざまな第三元素を添加し、そのTiAl、Ti_3Al両相への分配挙動を明らかにして、すでに述べたTi_3Al相とTiAl相の間の塑性不適合を軽減し得る合金元素の探索を行った。スズはそのような要請を満たし得る元素の一つであることが明らかになったので、スズを含む数種のTiAl/Ti_3Al二相合金を溶製し、その界面の状態の観察と合金の機械的性質の測定を行った。しかし、スズ添加によっても、TiAl/Ti_3Al二相合金のサンドイッチ界面に垂直に応力が負荷されたときの脆さを有効に改善するには至らなかった。スズを含むTi_3Al相の降伏応力は二元系のTi_3Al相のそれより低下するが、Ti_3Al相自体がまだ脆いことがその原因である。この合金元素の探索は現在も続行中である。 ついで、MoSi_2とSiC界面を取り上げ、その微視的構造と力学特性の研究を行った。MoSi_2とSiC界面における両相の結晶方位関係についてすでに報告があるが、両相はそれ以外の結晶方位関係をもって隣接する場合もあり得ることを明らかにした。
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