研究概要 |
1.反応系の系統化:メカニカルアロイングにおける反応性をミリングによる蓄積エネルギーと関連づけるためにZr,Ti,Ni、Cuとヘプタンとの反応を調べた。DSC測定から求めた蓄積エネルギーと化学分析から求めた反応量との明確な関連が確かめられた。反応の開始はエネルギー蓄積の大きいZr、Tiの順で早期に開始れることが判明した。ミリングにおけるSiCと各種金属元素との反応でも同様の結果が得られている。また反応中間状態について調べた。金属Tiとヘプタンとのミリングにおいては、ミリング条件を変えた試料につき、DSC測定と反応生成物の解析を行なった。その結果、ヘプタンの分解はミリングで生ずるが安定なTiCを形成する前に準安定な面心立方構造でCを取り込んでいることが判明した。SiCとNiとのミリングにおいても、標準生成自由エネルギーが正のNi_3Cが準安定物質として生成されることが確認された。 2.反応条件とカイネテックス:ミリングにおける金属とセラミックスとの反応についてはTiとSi_3N_4についての結果から、反応の潜伏時間が存在し、反応の開始にはミリング中に蓄積されるエネルギーが限界値に達することが必要なことを見出した。SiCとNiとの反応についても同様の結果が得られたが、興味あることとして、ミリングによるエネルギー蓄積がSiCとNiが単体としてよりも共存する場合に多い複合効果を持つことが見出された。また結晶子径の微細化も複合効果を持ち、これは蓄積エネルギーが界面エネルギーが主であることを示唆している。Al-Ti系とヘプタンとの反応においても、ヘプタンと接触させる前のミリングが反応に有効であることを確かめた。
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