研究概要 |
組織と温度で示される状態図は材料科学にとってきわめて重要な基礎データである。しかし、酸化物特にガラス形成系においては、分相の発達、化合物の晶出及び準安定相から安定相への相変態は拡散に支配されるため、組成や温度ばかりでなく時間によっても現れる相が変化する。そのため時間を考慮した状態図が必要となってくる。低熱膨張及び低誘電率の特長で知られる、コーディエライトガラスの結晶化過程を調べ、ガラスからalpha-コーディエライトまでの相変態経路が2つあることを明らかにした。ひとつはガラスを急速に(40K/s)加熱した後1100℃付近の高温で保詩したときのみに認められる、ガラス→alpha-コーディエライトへの経路である。もうひとつは上記以外の条件で観察される、mu-→alpha-コーディエライトへの経路である。いずれにおいてもX線回析では同じalpha-コーディエライト相であるが、前者がデンドライト状、後者が面欠陥や転位を含むラスマルテンサイト状の結晶が晶出することが観察された。従って、微細組織と物性の関連性を調べる必要があるものと判断される。 Bi系高温超伝導体融液の凝固過程におけるCCT、TTT図を作成した。この研究において110Kに臨界温度を持つ2223相が850℃付近の狭い温度範囲で250ks以上の長時間の等温熱処理を経ることによってのみ生成することが明らかになった。さらに、2223相の晶出過程での微細組織の変化から、(Ca,Sr)_2CuO_3を核として融体からまず2201相が晶出し、さらに(Ca,Sr)_2CuO_3からのCa,Sr,Cuの拡散により2201相が2212及び2223相に変化することが判明した。
|