研究概要 |
前年度に引き続き,表面の乾式洗浄法としてパルスエアジェットを用いる方法について検討した.本年度は,帯電粒子が沈着した場合に生じる静電気的付着力の影響,被洗浄表面および粒子の形状の影響等に着目した結果,以下のような知見が新たに得られている. 1.表面が半導体,導体の場合,粒子の帯電によって生じる静電気力は,除去性能に大きな影響を及ぼさない.一方,表面が絶縁体の場合,気流の圧力が低い場合には,粒子が帯電していると,帯電していない場合に比べ除去率が低下するが,圧力を上昇すると除去率は粒子の帯電に無関係となる.このことから,静電気力は,付着力としてはvan der Waals力に比べ弱い力であることがわかる. 2.表面が粗い場合,表面の凹凸の間隔と付着する粒子の粒径の相対的な関係によって,除去率は変化する.凹凸の間隔と粒径が同程度である場合,除去率は平滑表面に比べ高くなるが,凹凸の間隔より粒径がかなり大きい場合は,平滑表面に比べ,粗い表面の方が若干除去率が低下する.これは,表面の粗さの影響が,除去力にも付着力にも現れるためと考えられる.いずれが顕著に現れるかは,粒径と表面の凹凸の相対関係によって決定される. 3.粒子形状が非球形の場合,球形粒子と比較して,表面との接近質量が小さい粒子は除去率が高い.逆に,表面との接触面積が大きい粒子では除去率は低下する.この傾向は,粒径が小さいほど顕著となる.これは,van der Waals力に寄与する粒子の接近質量が,粒子形状によって変化するためである.
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