軸対称ノズルから得られるジェットの剪断層に平板の端を挿入すると大きな音が発生する。この原因を解明するのが本研究の目的である。今年度は3年間の初年度として先ず、空力音を作り出すための風洞を改良して、今まで風速が20m/sまでしか得られていなかったものを35m/sまで上げれるように改良した。その結果、20m/sでは、ノズルとの共鳴で680Hz付近の音が発生していること、また、フロートーン特有の、一連の周波数の続きであるステージが4つほど存在することが明らかになった。35m/sにおいては、それとは違った種類の音、つまり、ジェット自身の4重極の音が直接平板上の圧力変動を引き起こして音が発生することが分かった。また、もう一つの特徴として、流体中の速度変動の寄与が考えられ、特にジェットの軸に垂直方向の速度変動が平板先端のすぐ近くにあるとき大きな音が発生することが分かった。なお、今回購入したパソコン及び光磁気ディスクをデータ採りに活用した。これらの実験と平行して今回購入したワークステーションを用いて先ず最初に軸対称非圧縮性流を数値的にシミュレーションした。ジェットのシミュレーションは以外に難しく、特に下流側での流出条件が問題である。ここでは、放射条件を使ってスムーズな解が得られた。今後は、更に格子を増やし、かつ、高精度化を図る。これらと平行して、圧縮性のジェットの計算もスタートし、マッハ数が0.5では非圧縮性流とほぼ同じ結果が得られた。今後は、圧力波を精度良く解き、空力音発生のメカニズムに更に追っていく予定である。
|