研究概要 |
平成6年度前半は,マッハ数Mが高々0.1以下の非圧縮性ジェットを用い,その剪断層に平板を挿入して発生する空力音の研究を行った。後半は,M=0.1〜0.9の圧縮性ジェットに焦点を移し,レイノルズ数およびマッハ数が空力音発生に及ばず影響について研究した。その結果以下のことが明らかになった。 ・実験から,非圧縮領域では板の先端形状は丸いものよりナイフ状のものが大きな音を出すこと。大きな音が発生するとき板の前後で乱れの空間分布が整然とし,主流方向の乱れ分布は直角方向の分布と異なること。圧縮領域では,板のないジェットのみから発生する音について,ジェット騒音はレイノルズ数の1.6乗,マッハ数の6.4乗に比例し大きくなること。非圧縮で観測された周波数ピークはジェット速度の上昇に伴い一度なくなるが,さらに速度が大きくなると再び現れること。ノズルの3D(Dはノズル径)下流に板を置くとストロハル数0.4のピーク周波数が現れることが分かった。 ・数値計算では,軸対称ジェットを対象にまず圧縮性ジェットの構造を詳細に調べた。それによると,ノズル出口からある距離だけ下流の離散する複数の位置で渦の合体が見られること,その最初の位置はノズル下流3D付近であること。その後6Dの位置で二度めの渦の合体が見られること。最初の3Dの位置はちょうど実験で大きな音が発生するときの板の位置と一致することが分かった。さらに,3次元の数値計算プログラムを開発した。平成7年度はこれを使って流れと音の関連付けをおこなう。
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