研究概要 |
過去4年間,マッハ数2.5の超音速流中に縦渦(流れ方向に渦軸をもつ渦)構造を導入する手法およびこの縦渦構造による超音速乱流混合促進について,実験(主に可視化)と数値シミュレーションに基づき調べてきた。これらの結果を踏まえ,分子レベルでの混合を促進する上で有効な混合構造を明らかにするために計画された平成5年度の各課題については,下記の通り満足できる成果が得られた。 1.縦渦の組み合わせによる混合促進 縦渦の組み合わせ方として,(1)スパン方向にスケールの異なる縦渦を組み合わす。(2)この(1)の組み合わせを上下2列組み合わす,(3)縦渦の向きを組み合わす,などの場合を取り上げ,剪断層との組み合わせに注目して,混合の促進の様子を実験的に調べ,詳細な知識が得られた。 2.衝撃波と縦渦や剪断層との干渉 予備実験から特に剪断層との干渉によって小スケールの渦構造が生まれる可能性が示唆されていたので,まず数値シミュレーションでこの点を確かめ,さらに1.の実験からその重要性を調べた。 3.広帯域熱線流速計および熱線較正用の超音速風洞の試作 混合に寄与する乱流構造を詳しく調べるには熱線による測定が重要であり,200KHz程度までの応答特性をもつ広帯域熱線流速計を試作し,さらに熱線の応答を較正するための超音速風洞も試作した。現在,この熱線の応答特性を調べている。 4.数値シミュレーションによる熱線の熱損失特性の研究 実験から得られる熱線の応答式(較正式)を検討するため,超音速流中の熱線の熱損失特性を数値計算により明らかにした。特に、ヌセルト数とレイノルズ数(あるいは熱線出力と質量流束)の関係が明確となった。
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