研究概要 |
平成7年度は,平成5年度からの研究を継続発展させ,超音速混合促進の機構と促進手法を解明・開拓し,超音速燃焼を数値シミュレーションして,縦渦を利用した混合促進法の有効性を確認することを目指して研究を実施し,下記の成果を得て研究を総括した. (1)縦渦の組み合わせおよび縦渦の不安定性に着目した混合促進逆回転縦渦列や同方向回転縦渦列さらに複葉モデル(2列の縦渦列)について混合に寄与する渦構造を調べた.縦渦の渦度分布に着目し,縦渦がレイリーの変曲点不安定を満たす渦度分布をもつときには,強い不安定性により小スケール渦に速やかに崩壊し,混合促進に適した流れが実現されることを明らかにした.そこで,このような立場から縦渦を設計するツールとして安定性理論を用い,渦度分布の不安定性と小スケール渦への崩壊の関係を,非線形段階の挙動(数値計算)まで含めて詳しく調べた結果,超音速混合促進に非常に有利な縦渦を見いだし,その設計法も確立させた.これは平成5年度以来の大きな成果であり,7年度当初に予定した下記(2),(3)の研究内容もこの成果を生かす形で進められた. (2)縦渦,剪断層,衝撃波の間の干渉 いずれの干渉も数値シミュレーションにより調べ,衝撃波については,それが振動するときに剪断層の不安定性が励起されること,縦渦導入モデル後縁衝撃波の振動により縦渦形成段階から攪乱が導入される可能性(実験結果の分析),また剪断層の速度分布を階段状にすることにより横渦の成長を加速できること,乱流剪断層を取り込んだ縦渦の崩壊過程(実験結果の分析)などを明らかにした. (3)超音速燃焼数値シミュレーションコードの開発 圧縮性粘性流に対する計算コードは完成し,上記の各シミュレーションに使用された.縦渦流れ場における異種流体間の混合の計算にも適用し混合を評価した.さらに,燃焼計算を試みているが,その計算法を現在,検討中である.
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