研究課題/領域番号 |
05452309
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小瀬 邦治 広島大学, 工学部, 教授 (40034409)
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研究分担者 |
MISIAG Wojci (株)郵船海洋科学, 研究員
高瀬 悟 広島大学, 工学部, 助手 (10253105)
平田 法隆 広島大学, 工学部, 助手 (80181163)
平尾 三郎 広島大学, 工学部, 助手 (70181138)
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キーワード | 船舶操縦、 / 避航操船、 / 意志決定支援、 / 船橋配置、 / エキスパートシステム、 / シミュレーション / 船位認識、 / 統合操船システム |
研究概要 |
本研究では、船をワンマンコントロールで安全で効率的に運航可能にするために、関連した技術開発を推進した。この目的を達成するにはディファレンシャルGPS、電子絵図、人工知能技術等を利用した船位認識、船位誘導、衝突座礁防止技術に関して検討すると共に、それらを活用した統合ブリッジについて検討することが必要になる。こうした統合操船システムの実現には、人間と船との役割分担を支援システムの導入で見直し、人間と操船システムが互いの長所を生かし、弱所を補強しあう関係を構築する必要がある。本研究では既に開発されている操船シミュレータを活用して、人間・機械系としての操船システムを色々な航行環境の下で評価し、ワンマン操船を可能にするシステムの設計をめざすものであり、ヒューマンの特性を考慮して実用性を持ったシステムの設計上の要点が明確になると期待される。 平成5年度においては、GPS,レーダー、潮流、風等のノイズ的環境、交通環境、航路幅等の水域環境等のモデル化を行い、航行環境シミュレータが完成している。本年度はこれを用いて、以下の検討を行い、次のような成果を得た。まず、操船上の要になる情報がディファレンシャルGPSを利用した船位認識であることに着目して、その計測誤差について実船試験を含めて調査した。その結果、誤差の衛星配置との関連や周波数特性が明確になり、精度の向上に不可欠なハイブリッド化への基礎資料を得た。 続く検討は、最も危険が予想される輻輳海域における航行支援であり、この目的のために操船支援システムのプロトタイプを設計し、メーカの協力を得て製作し、操船シミュレータに組み込み、操船シミュレーションを実施可能にした。これを用いて、輻輳海域航行のシナリオに基づき、ベテラン操船者による航行シミュレーションを実施し、支援システムの評価を行い、障害物を避航する際の人間の意志決定過程の分析を行った。この結果から、いろいろな航行の危険性を表す抽象化された指標のみでは人間の判断との隔たりが大きすぎ、多分に幾何的な形での支援情報の提供が必要であることが明確になり、この形での支援法を具体化し、効果を確かめた。 また、支援の強化には相当なレベルの避航操船エキスパートシステムが効果的であることに着目して、開発を行った。まず、基本的な障害物との遭遇状況に置ける交通法規やプラクティスとの適合性を確認するとともに、相当に輻輳した航行条件下で操船者に避航コースラインの提案を行う形での支援法を具体化した。 また、ワンマンコントロールを行う場合のブリッジは定位置に人間が座ったままで視界からの情報が確保される必要があり、操縦室からの視界の確保が重要になる。視界設計という立場から、内航船のブリッジの見直しを行い、居住区を含めた総合的に船橋配置の検討を行った。 以上、本研究ではDGPS等の支援が得られる条件下で具体化されると見込まれるワンマンそう船の対応した操船支援システムに関連した技術開発と評価を行い、実用上も重要と考えられる多くの成果を得た。
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