本年度は、来待砂岩試料を用い、載荷・除荷繰り返し一軸圧縮試験試験および疲労試験を行った。 載荷・除荷繰り返し一軸圧縮試験において、その際に生じるひずみおよびAE発生挙動を計測した。AEの計測結果からカイザー効果は一軸圧縮強度の70%前後の応力まで認められ、これ以上の応力では、載荷の際に連続的にAEが発生し、カイザー効果は見られなかった。また、このカイザー効果が認められない領域において除荷した場合、再載荷時のひずみは除荷時のひずみより大きくなり、除荷時にもき裂が成長する不安定なき裂の成長領域に入っているものと考えられる。したがって、カイザー効果がみられる限界の圧縮応力は来待砂岩の大気圧下における降伏応力と見なすことができるものと考えられる。 疲労試験においては、少ない繰り返し回数においてAEの発生が認められ、つぎにAEの発生があまり見られない、あるいは繰り返し回数とともに線形的に増加する繰り返し回数の範囲が存在する。さらに、繰り返し回数が増加し、試験片が破断に近づくと、AEの発生数が次第に増加する。AEの急増点は、上限応力が高い場合には、上限ひずみの増加割合が減少から増加に転ずる点に近く、より低い上限応力では上限ひずみが加速的に増加する点に相当する。また、AEの発生数には試験片の固体差が見られ、その差が著しい。 なお、疲労試験の試験結果から推定される耐久限界は、破壊までの繰り返し回数に大きなバラツキが大きく、評価することは難しかった。このため、本年度においては疲労試験で得られる耐久限界と降伏点の応力との比較が不可能であった。 本年度は、来待砂岩試料について疲労試験を行ったが、このような結果が他の岩石においても得られるかどうか検討する必要がある。
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