本研究では、荻野凝灰岩、秋吉大理石および来待砂岩試料を用い、載荷・除荷繰り返し一軸圧縮試験および疲労試験を行った。 載荷・除荷繰り返し一軸圧縮試験において、荷重、ひずみおよびAE発生挙動を計測し、AEの計測結果からカイザー効果は荻野凝灰岩では平均約31.4MPa、秋吉大理石では平均約51.2MPa、および来待砂岩では平均約20.4MPaの一軸圧縮応力まで認められ、これ以上の応力では、載荷の際に連続的にAEが発生し、カイザー効果は見られなかった。また、このカイザー効果が認められない領域において除荷した場合、残留ひずみがより大きくなり、特に横ひずみで顕著であり、さらに、除荷時にもAEが観測されることから除荷時にもき裂が成長する不安定なき裂の成長領域に入っているものと考えられる。 疲労試験においては、AEの発生挙動は、上限応力が高い場合には試験片の破断まで連続的に一定の割合で増加する傾向を示し、破断に至る。上限応力を低下させると、少ない繰り返し回数においてAEの発生が認められ、つぎにAEの発生があまり見られない繰り返し回数の範囲が存在し、その後試験片が破断に近づくと、AEの発生数が次第に増加する。なお、AEの発生数には試験片の固体差が見られ、その差が著しい。 疲労試験の試験結果から推定される耐久限界は、荻野凝灰岩では約28.3MPa以下であり、秋吉大理石では約67.4MPa、および来待砂岩では約22.9MPaであると推定される。これら岩石の耐久限界と降伏応力とを比較すると、荻野凝灰岩では疲労限界が降伏応力よりも低くなり、秋吉大理石と来待砂岩では逆に疲労限界は降伏応力よりも高くなり、岩石により異なることが認められた。したがって、AEのカイザー効果から評価される降伏応力から疲労限界を求めることは難しく、疲労限界は実験的に求めるざるを得ないと考えられる。
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