研究概要 |
本年度の研究により得られた主な成果は,以下の通りである。 1.豊浦標準砂を充填した土槽において,円形剛性車輪およびゴム皮膜車輪を供試して,土層厚を一連に変化させて走行試験を行い,駆動トルク,けん引力,沈下量,すべり率,車輪面に作用する法線・接着応力分布,土中変位、歪分布等の力学的諸量の厳密な測定を行った。特に,本測定結果に基づいて,土層厚に対するけん引力の関係は実在気体のファン・デル・ワールス状態方程式における気体の体積と圧力の関係に類似であることを指摘し,その近似式を提案するとともに,実測値対する近似曲線を与えた。 2.土槽の透明アクリル壁に設置した約300枚の十字を印字したマーカの変位を刻々写真撮影し,ディジタイザーで分析することによる土中変位の測定法を開発した。さらに,その測定結果に基づいて,土中のひずみ,等ひずみ線を算定する解析システムを開発した。これらにより,数水準の車輪接地荷重,すべり率、車輪回転角における主ひずみ,体積ひずみ,せん断ひずみ分布を実測,算定した。 3.土を弾塑性体として車輪走行現象を解析する有限要素解析プログラムの開発を行った。本プログラムにおいては,車輪と土の摩擦境界に,従来のジョイント要素法等の摩擦条件の判定を要するディスクリートな手法ではなく,相対変位に従い摩擦力が滑らかに増大する新たな手法を提案,導入した。本プログラムによる解析結果をけん引力,車輪沈下量さらには土中変位の測定結果を比較したところ,十分良一致が認められた。
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