研究分担者 |
小林 俊光 東北大学, 医学部, 助教授 (80133958)
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
小澤 賢司 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (30204192)
浅野 太 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00231895)
鈴木 陽一 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20143034)
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研究概要 |
補聴器の装用時に問題となるノイズは大きく,(1)定常騒音,(2)非定常騒音,(3)ハウリングの3つに分けることができる. このうち,(2)のノイズに対しては,適応マイクロホンアレイに高速適応アルゴリズムの一つであるRLSアルゴリズムを応用し,騒音に高速に適応する手法(仮想相関行列法)の開発を行った.この手法は,適応マイクロホンアレイに初期指向性を与えておき,パワーの大きい衝撃性騒音が発生したときに限り,これに選択的に適応して,この方向に指向性の死角を形成する.本手法では特に,適応の高速性が優れており,衝撃性雑音に10ms以下の短時間で適応可能であることが計算機シミュレーションにより確かめられている.現在は,この高速性を理論的に実証するため,本手法の収束速度についての理論解析を行っており,これにより適応時間の見積りが可能となる.この成果は,日本音響学会の研究発表会において報告している他,IEEEのトランザクションにも投稿中である. 上述の手法は,(1)のノイズの抑制にも適用可能であるが,この手法は演算量が非常に多くなってしまうため,騒音の定常性を利用した手法を開発した方がより現実的であり,また有効であると考えられる.現在,定常騒音中の音声を強調することを目指したノイズ抑制アルゴリズムを開発中である. (3)に起因するノイズを抑制するためには,補聴器のセンサから入力された信号に周波数圧縮をかけ,フィードバックによる発振を防ぐ手法に関する検討を行っている.この手法を用いることによって,ハウリングのマージンが約20dB上昇することが計算機シミュレーションにより確認されている.現在は適応ノッチフィルタを用いることにより,ハウリングのマージンをさらに大きくすることを検討している. 来年度は,これらのノイズ抑制アルゴリズムの基本的な性能の評価を行うとともに,その有効性を難聴者への適用を通して確認する予定である.
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