研究課題/領域番号 |
05452346
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
岡本 敏雄 電気通信大学, 情報システム学研究科, 教授 (60125094)
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研究分担者 |
若林 伸和 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60242351)
松田 昇 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (70211571)
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キーワード | 協調分散 / 学習システム / 自己アイデンティティ / 教育工学 / 人工知能 / グループ学習 / エキスパートシステム / マルチメディア |
研究概要 |
本研究では、教授対象(学習目標)を児童・生徒みずからが、相互に連絡を取りながら学習を能動的に進めていく協調分散型の学習環境を考える。そこでは、メンバー相互における情報のやりとりにおいて、社会的情報伝達過程が存在し、社会的記号の意味、理解が必要とされる。さらに、そのコミュニケーション過程を通じて、他者との関係から自己アイデンティティがどのように芽生えるかを伺うことができる。つまり教授対象の理解は、児童・生徒の他者との協力・依存関係から分析することができる。ここで、自己アイデンティティとは、協調学習の過程で、自己の役割の認識、提案・主張の妥当性の認識、問題場面における状況の変化の認識、自己の考え方の変化の認識、結果の評価(自分にとっての意味と客観的有用生の認識)等を意味する。 上述の目的を達成するために、授業の中でのグループ学習形態を前提とした知的学習システムとして、領域(学習目標:公害に侵された町を救う)依存の設計・診断型の知的マルチメディアシステムを開発した。それゆえ、平成5年度の時点において、「公害に侵された町を救う」というテーマにおけるグループ協調型ソフトウェアをパーソナルコンピュータを用いて作成完了している。そこでの成果は、既に電子情報通信学会、CAI学会など、教育工学に関連したいくつかの学会で発表されている。本教育システムは、音声および映像(動画、静止画)を活用し、グラフィックインタフェースを用いた構成となっている。その教育効果に関しては、実際の教育現場での実験授業を通して検証されている。 さらに、本システムをグループ学習形態として利用した学習実験も行なわれており、実際の学校現場における実験授業などを通してその有効性が検証されている。そこでの知見は、平成6年度において構築するコンサルテーションシステムへ組み込まれるものである。そこで現在、協調的に議論が展開する中で、議長としての教師の振舞いや個々の学習者に対して個別的な助言を与えるエキスパートシステムの仕様および基本設計が完了している。さらに、学習実験の結果、システムの改良が繰り返し行なわれており、その完成度は実際の教育現場での活用に十分対応できると思われる。
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