研究概要 |
本研究は,サブサンプションアーキテクチャに立脚した計算論的モデルに基づくビジョンシステムを構築することを目的としたものである.具体的には,生物のさまざまな行動の過程において,視覚が果たす最も基本的な役割の一つと考えられる,移動する対象物を視覚系で追尾する機構を研究対象とした. 平成5年度は,不特定の移動物体を追尾する機能に関する数理的モデルを構築することを中心に研究を進めた. 視覚のサブサンプション的階層構造の中で物体を追尾する機構が占める位置は,最も低い幾つかの階層であると考えられる.これらの各階層が有効に動作するようなモデルを構築するためには,視覚系の視点・視野の制御が極めて重要となる.本研究では,各階層における情報獲得の安定性の観点からみた,視点・視野の最適制御を実現するモデルを構築を行った. また,これらの過程でモデルの妥当性,有効性を解析するために,様々な環境モデルに対する本モデルのふるまいを数値シミュレーションで明らかにした.研究計画で計上した数値シミュレーション用ワークステーションはこのために使用したものである.
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