研究概要 |
1.静止物体の形状獲得のための観測戦略 画像に基づいて物体や空間を認識するためには,対象物体の可視部分のみならず,不可視部分の記述も併せて必要となる。ある視点位置からの不可視部分情報を獲得するには,視点を移動して新たにその部分を観測することが必要である.そこで本研究課題では,可視部分から不可視部分の形状を予測し,その結果を仮説として,これを検証するため移動すべき最適な視点系列を生成する手法を提案した.この手法では,視点あたりの観測可能な不可視面数を最大化するという一種のgreedy戦略に基づいて移動すべき視点を決定する。本研究ではまた,この手法によって計画された視点位置へのカメラの移動のために,移動経路上での観測結果に基づいてカメラの移動方向を逐次修正するという視覚制御的な処理の導入についても併せて検討した. 2.仮説推論を用いた移動物体の運動理解 本研究課題では,移動物体として人間を想定し,時系列画像から複数の人間の強調的動作を理解するプロセスに関する基礎的考察を行った.強調的動作に関する一般的な知識,及び動きの連続性に基づく仮説を利用することを前提にして,人間が解釈しうる(意味をもつ)動作の理解に向けての方法論を考察した.また,ソシアルダンスをケーススタディに,動作理解に必要な記述である物体の位置と物体間の位置関係を求める手法を具体化した.さらに,時系列画像処理に対する効率化を図るために,時系列画像から特徴的な画像フレーム(キーフレーム)を抽出する手法を考案した.キーフレームとは,対象物体の運動を記述するのに有用な情報を包含するフレームで,本研究では,静止した状態と動きが急激に変化した状態を表すフレームを抽出対象とした.
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