本研究の目的は、高度な情報処理技術を駆使して制御・運転される知的統合システムの安全性評価方法を確立することである。 研究計画の初年度の平成5年度は、知的統合システムの作動原理である格納知識をオペレータである人間に教授される知識の矛盾や整合性の検証方法について主に考察した。特に、IF-FHENのルール型で表された知識の整合性の検証方法や誤りの抽出方法を開発、検討した。 第2年度の平成6年度は、入力情報の誤り可能性を考慮した安全性評価について、主に故障診断システムを具体的対象としてその評価法と診断手順の最適化について検討した。特に、誤診断とそのシステムに及ぼす影響を考察するために、誤診断損失を評価規範とする故障診断手順の最適化法を提案した。また、故障モードの影響を定性的かつ定量的に評価するためにエネルギーフローに注目したボンドグラフ解析法を用いた故障診断システムを提案した。 研究計画の第3年度の平成7年度は、前年度までに得られた研究成果を基に、知的統合システムの安全性評価法を総合的に検討した。特に、オペレータ等人間を内に含む知的統合システムの安全性評価法について意思決定支援およびヒューマンエラーの伝播の立場から考察するとともに、故障診断システムをワークステーション上に構築し、本年度購入したパーソナルコンピュータをX端末としたオペレータ実験を行い、故障診断システムを安全性評価に適用した場合の問題点を検討した。
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