研究概要 |
主たる海難原因である人間の過誤(70%)の効果的防止を目指し、操船者ヒューマンエラーを含む安全性評価法の確立を試みている。本研究は操船者ヒューマンエラー評価モデルの構築を具体的目標として,次記する3種類のアプローチにより研究を進めている。 (1)操船者ヒューマンエラーに関する制御工学/人間工学的解析 船舶の操船機器,操船局面,発生するヒューマンエラーについて調査,解析する。 最近の船舶に装備することの多いジョイスティックコントローラの操船能力評価をシミュレータ実験により実施し,発表した。 (2)操船者ヒューマンエラーに基づく海難事故特性の解析 海難事故の統計的解析,代表的事故の海難審判裁決録での詳細な解析を行なう。操船者のタスク調査,タスクアクションツリー上のエラー確率の推定を実施する。過去10年間の海難審判裁決録を調査し,居眠り海難について解析し,2編の論文を発表した。 (3)操船者ヒューマンエラーに関する生理学的/心理学的解析 実船での脳波・ポリグラム・心拍数計測,労働実態調査を行い。運航環境及びストレスとヒューマンエラーとの相関を決める。実船での予備計測実験を終了した。 以上のアプローチの方法論検証とヒューマンエラー評価モデル構築の為に,499GT2隻,699GT1隻の3種実船へ乗船観測し,記録を発表する予定である。又,数回の討議に基づき,制御機能,人間機能,労働環境,運航目的の4要素からなるヒューマンエラー評価モデルの構造的骨格が決定された。
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