研究分担者 |
杉山 弘 室蘭工業大学, 機械システム工学科, 教授 (70002938)
荒川 政彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222738)
西村 浩一 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10180639)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (20001662)
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研究概要 |
昨年度に引き続き大型の低温実験室に設置されたガス銃を用いて、雪と氷の高速衝突実験が行われた。ガス銃の最高速度は約600m/s、実験は温度-18℃で行った。標的試料には板状の多結晶氷と雪を用いた。多結晶氷の場合にはクラックの伝播の状況を観察するために、試料をアクリル製の容器に入れ中を氷とほぼ同じ屈折率の液体で満たした。これで試料表面の散乱が押さえられ、内部の観察が可能となった。試料の衝突の様子は超高速で撮影可能なイメージコンバータ-カメラで撮影された。撮影速度は20万駒/秒、50万駒/秒である。光源にはクセノンフラッシュランプを用い、光学系にはシュリーレン法とシャドウグラフ法を用いた。氷の衝撃破壊の観測により、クラックの伝播の様子と速度に関していくつかの新しい知見が得られた。板状氷に氷プロジェクタイルを衝突させる実験では、氷中のクラックは球面状に伝播し、衝突速度が139m/sのときのクラックの進行速度は最高で約3000m/sにも達した。衝突速度を139〜528m/sの範囲で変えた実験から、クラックの進行速度が2100〜4000m/sの幅を持っていることが分かった。雪の高速衝突実験に関しては、衝突の様子の高速度撮影に成功し新しい結果が得られた。厚さ3,5,10,20,30mmの板状の雪試料(空隙率」15、30%)に先端が丸いプロジェクタイル(曲0.8cm,長さ1.8cm)を衝突させた場合衝撃波も球状に進行した。測定された物質速度および初期密度等から衝撃時に発生した圧力と密度を見積もられた。 その結果、粒子速度が距離のべき乗で減衰すること、同じ衝突速度で粒子速度は氷より雪の方が速くと、減衰率は大きいこと等が明らかになった。
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