研究概要 |
架空送電線や長大橋梁等に代表される長スパン線状構造物では強風に対する安全性の確保が設計上重要であり,スパン方向に非一様な風の作用下での対風挙動がいかなるものとなるかを検討することを目的に研究を進めた。今年度はこの課題の基礎的検討を行い,現時点までに新たに得られた知見で特筆すべきものはないが,最終年度へ向けての準備が整ったといえる。今年度行った具体的な検討は以下のとおりである。 1.予備実験として行った,タウトストリップ小型矩形断面模型を用いた局所的一様風による風洞実験の結果を検討し,風の局所性による応答の変化について考察を加えた。同時に風洞試験に対応する対風応答解析をモード解析法に基づき行い、実験値と比較した。 2.架空送電線のケーブルモデルに対して,波動解析に基づく対風応答解析法の定式化を行った。 3.架空送電線の動的特性,解析におけるモデル化上の問題,ギャロッピングを代表とする耐風挙動,等に関する文献調査を行い,この分野での研究の現状について調べた。 4.長大斜張橋のガスト応答解析を,ケーブルの横振動を考慮して行い,その影響について論じた。解析はモード解析法に基づくが,ガスト応答解析の定式化を再構成し,非一様風とした場合のポイントを把握した。 次年度はこれらの検討結果をもとに風洞実験,波動解析法に基づく対風挙動解析を行い,非一様風下での長スパン線状構造物の空力弾性振動の特殊性について解明する計画である。
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