研究課題/領域番号 |
05452374
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 俊一 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (70001659)
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研究分担者 |
丸井 英明 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (10219545)
大木 靖衛 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (30223754)
青木 滋 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (80018621)
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キーワード | 雪泥流 / 衝撃力 / 擬塑性流体 / 粘性率 / 融雪水 / 暖冬少雪 / 豪雪 / 凝集性 |
研究概要 |
本年度は購入した粘度計を用いて雪泥の粘性率を測定して、せん断応力とせん断速度との関係を求めた。その結果、流体としては非ニュートン性で擬塑性体流体としての特性を示した。このことは流体が凝集性構造を持つことが示唆された。理論的には、雪泥の密度は1000kg/m^3(全部が水)と920kg/m^3(全部が氷)の中間で水よりは小さな値であることからその衝撃力を評価する場合には、水よりは小さな値と見積もる恐れがある。しかし実際には、人体や橋桁のような小さな構造物に対しては、雪泥がその凝集性のために大きな塊として衝突する結果、水よりも大きな衝撃力を受ける可能性がある。そのことを確認するために、小型模型流路の斜面上で雪泥流と水の衝撃力の比較測定を行なった。結果は、粘性率から予測されたように、雪泥の衝撃力は水の場合よりは大きく、さらにパルス状の値を示し雪泥の凝集性についての新しい知見が得られた。この新しい実験結果を、自然河川での雪泥流災害に適用できるか否かを確かめるために、平成2年3月長野県栂池スキー場で発生した災害を調査して比較検討した結果、水では壊れることがない橋が雪泥流で破壊され、橋を渡っていた2名のスキー客が死亡する事故となっていたことがわかった。ちなみに事故当時の現場写真を調べてみると、両岸上には、橋桁よりも大きな雪泥の塊がたくさん打ち上げられていることがわかり、今後、雪泥流の襲う恐れのある河川の橋などの構造物の設計に対して有益な指針が得られた。また、国内外の雪泥流災害を文敵と現地により調査した結果、雪泥流の発生機構として大きく2種類が考えられることが明らかとなった。
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