研究課題/領域番号 |
05452379
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
荒生 公雄 長崎大学, 教育学部, 教授 (40039425)
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研究分担者 |
長岡 信治 長崎大学, 教育学部, 助教授 (80244028)
高橋 和雄 長崎大学, 工学部, 教授 (30039680)
中根 重勝 長崎大学, 水産学部, 教授 (50001590)
藤吉 康志 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (40142749)
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キーワード | 雲仙・普賢岳 / 火山性土石流 / 降水システム / 気象レーダー / 防災情報 / リスクコントロール / 土砂流出 / 堆積作用 |
研究概要 |
1993年は梅雨明け宣言が撤回されるほどの異常な長雨となり、雲仙岳においても豪雨によって頻繁に火山性土石流が発生し、家屋、農地および交通網の被害が拡大した。暖候期の雨量は平年の約2.5倍に及んだことと、6月下旬からは再び火砕流の脅威も加わって、被災地の状況は極度に悪化し、本研究も予想以上の苦難に遭遇したが、これまでに獲得した研究の成果は以下の通りである。 (1)流出土砂量が50万〓を越える大規模土石流が、この年だけで4回も発生したが、それらの降雨はすべて名古屋大学RHIレーダーによって観測され、貴重なデータセットとなった。それらの解析の結果から、4例ともに、普賢岳を襲う降雨セルは西南西の方角から時速約60〜70kmで来襲したことが明らかになった。このことは、降雨の現況監視や防災体制の整備に重要な観点や基準となる手掛かりを提供するものであり、本研究によって得られた貴重な成果の一つである。 (2)度重なる土石流の来襲にもかかわらず、土石流による犠牲者(死者)は出ていない。これには、【.encircled1.】気象台が島原地方に限った警報を発表するようになり、気象情報が身近になった、【.encircled2.】島原市、深江町の行政・防災機関が避難誘導に尽力した、【.encircled3.】住民が避難の呼びかけにまじめに対応し早めに避難した、ことなどが理由として挙げられる。しかし、何度も繰り返される避難に対して住民の緊張感にも限界がみられ、犠牲者を出さないためのなお一層の努力と実践的な研究が必要である。 (3)土石流の氾濫域の数か所において堆積土砂のサンプリングを行い、土石流推積物の粒径、形状、成分組成について偏光顕微鏡下で写真撮影を行い、その特徴を分析するとともに、普賢岳周辺の航空写真を購入して、普賢岳山腹部から水無川流域にかけてのガリの形成と崩落、土石流による河谷の変容および扇状地の形成過程に焦点を絞って地形学的な解析を行った。
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