研究概要 |
平成7年度は兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の調査等に相当のエネルギーを代表者,分担者とも注がざるを得なかった。11.に示す総合都市研究は上記震災の特集号であり、本研究の担当者による論文(報告)が7編を占める。ところで、この震災の被災地は主として神戸市を中心とする関西大都市圏であり、我国大都市が、これほど地震災害に対し脆弱であった事は我国のみならず世界の地震工学(防災)研究者たちに大きな衝撃を与えた。それ故,ここに計画・実施してきた本研究の主旨から考えても重視しえない重要なイベントであるとの立脚点から主として東京都区部を含む我国の全政令都市の自然条件、都市・社会構造などでも地震災害に関わる可能性がある40の都市情報を収集し、神戸市のそれらと被災状況の関係を分析しつつ都市の地震災害脆弱性を規定する要因を定量的に解明することを本研究における重要な課題と位置付けた。手法は上記をはじめ被害量の諸々の資料の収集,地震防災研究者へのいわゆるエキスパートアンケート,多変量解析法を含む様々な数学的モデルの適用等である。成果はまだ十分とは言えないが,主成分分析の結果が現状では上記の目的に最も適合することから11thWCEEに論文として発表する予定である。当然、そこで提案する手法は資料が外国の諸都市についても同レベルで得られるとすれば、定量的な国際比較に十分耐えられると考えている。 なお本年度の外国の都市における事例研究としては、分担者の一人松田磐余がカラカス(ベネズエラ)を訪問し、資料収集を行い国際比較のための解析を実施中であり,また申請時,研究分担者の一人であった現長岡工専助教授塩野計司が中国,トルコに出張し同様のプロセスにある。本研究は本年(平成7年度)をもって終了することから平成8年度中にはそれらを全て終了させ,従来の研究成果と併わせ申請した到達目標に適合するよう研究のとりまとめを急いでいる。
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