研究概要 |
(1)高温プラズマ周辺部の水素原子密度計測に最適な,ArFレーザー光(波長193nm)及びその波長変換により得られる高出力紫外光を用いる種々の二光子励起レーザー蛍光法、すなわち,(i)205nm×2,(ii)(193+219nm),(iii)(193+195nm)の三種の励起方式について,検出感度を理論及び実験的に評価した。205nm光は重水素ガス中での第一ストークス光発生,219nm光は同等二ストークス光発生,195nm光は水素ガス中での回転ラマン光発生により得られる。そのため,(i)及び(ii)は同時に利用可能であり,その場合に(iii)の約10倍の信号強度が得られ最適であるとの結果を得た。 (2)同法は,迷光及び水素原子によるレーザー光吸収の問題がなく,特にダイバータ部での計測に適している。日本原子力研究所JFT-2M装置を例に,そこでの計測のSN比を評価した。評価では,安定に利用可能なレーザーエネルギーノ値,50mJ(193nm)と10mJ(205,219nm)を用い,蛍光集光のF値は10,観測体積は20×1×1nmとした。観測位置の水素原子密度は,DEGASコードの計算結果を,粒子閉じこめ時間10-30ms,リサイクリング係数1の仮定のもとに絶対値化し,0.8-4×10_<17>m_<-3>と評価した。観測のSN比は,プラズマからのHalpha放射光の揺らぎで定まり,8-20と評価された。すなわち,本計測法を用いてダイバータ部の水素原子密度計測が可能である。 (3)実験では二酸化窒素ガスの滴定法で±20%の精度でシステムを較正した。高温プラズマ装置へ設置されたシステムでも同程度の較正精度を得る方法を考案することが今後の課題である。
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