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本研究は、核融合炉材料照射試験装置における中性子源スペクトルを高精度・高分解能・高効率で連続的にモニターするのに適した検出器として、反跳陽子カウンターテレスコープ方式に新しいアイデア、即ち、(1)試験装置からの漏洩中性子ビームに対して、反跳陽子放出用のポリエチレン薄膜を平行に置くこと、(2)その両側に中性子ビームから遠く離して反跳陽子検出器を平行に配すること、(3)途中に細径・多孔の反跳陽子プリコリメータを設けて立体角を絞ること、の3点の導入を提案するもので、このプロトタイプの検出器系を設計・試作し、通常相反する設計パラメータとなる高エネルギー分解能性と高検出効率の両立、反跳陽子検出器に対する耐放射線性の確保、コンパクトな検出器系の実現という本アイデアの原理と有効性の実証を目的としている。
今年度は、核融合材料照射試験装置で想定される主要な中性子エネルギー領域(1Mevから〜50MeV)の中性子に対して、検出器応答関数を計算するプログラムを作成し、特に、14MeV中性子に対するエネルギー分解能と検出効率を設計パラメータとして、最適な検出器形状の検討を行った。一方、本計算結果の妥当性をチェックするため、機械加工で製作できる範囲の立体角の大きい反跳陽子プリコリメータを用いた原理実証用検出器を試作し、14MeV加速器中性子源による性能評価実験を行ったところ、目標としているエネルギー分解能には程遠いものの、実験と計算は良好な一致を示した。
従って、今後、微細加工技術等を援用して、所定のエネルギー分解能の実現できる〜100μm級の細径・多孔反跳陽子プリコリメータの試作により検出器性能の改善を図る他、より高エネルギー側中性子の測定に適した検出器構成(重粒子反跳やエネルギー選別フィルターの利用)の検討と性能実証試験を行う予定である。
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