研究概要 |
核融合炉のダイバータ表面は,実験炉クラスでも30MW/m^2程度の大きな熱負荷にさらされることが指摘されており,ここの冷却技術を確立することが急務となっている.この高熱負荷面の特徴は,(1)比較的大きな広がりの面を均一に冷却する必要があること,(2)一方向からの放射加熱をうけることである.この特徴を考慮した最適な冷却方式は,2次元衝突噴流を利用した冷却であると考えるが,この冷却方式の問題点は噴流直下の衝突部分は大きな熱伝達率および限界熱流束が期待できるがこの部分から離れるにつれ,限界熱流束の低下は著しいことである.本研究では,噴流冷却のこの欠点を補うため,半円形の曲面を有する伝熱壁を連結して高熱負荷面を形成し,2次元衝突噴流で冷却する方式を提案し,除熱特性を調べることを目的としている.今年度は,加圧タンクから放出タンクへ流体をガス圧により流す方式で高流速条件をつくる実験ループの設計・制作し,加熱試験体には,厚さ18ミクロンの銅薄膜を0.3mmの樹脂シートに張ったプリント基盤を利用し,このプリント基盤を任意の曲率をもつ曲面に圧接してわん曲加熱面をつくった.今年度は大気圧下で最大40m/sの流速,加熱熱流束は最高40MW/m^2を実現する試験ループと加熱試験部の設計・制作し,最大16m/sまでの実験を行った.その結果,解析的検討で予測されたように平板加熱面に比べ,曲率を持たし遠心力を利用することにより,衝突噴流中心から離れるにつれて低下していた限界熱流束を著しく向上させることが可能となり,核融合ダイバータ等の高熱負荷面冷却に十分に利用できる見通しができた.この研究結果は,本年3月の原子力学会で報告するため投稿している.また,この夏の核融合炉工学大回国際会議にて発表の予定で準備している.
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