(1)現有の水素透過測定装置を用いて、高品位のモリブデン、タングステンについて水素透過度、拡散係数を測定した。 (2)原子状水素発生装置を作成し、これによりニオブ、モリブデン、タンタル、タングステンの各試料について原子状水素の反射、付着を測定した。 (3)現有の水素イオンの再放出測定装置を改良し、高エネルギー水素イオン照射中に発生される固体表面及びその近傍からの光を分光測光できるようにした。そして特に励起水素原子からのバルマー線(Hα)の発光について詳しく調べた。その入射エネルギー依存性や標的固体の原子番号(Z)依存性から、Hαの発光が標的固体から反射された励起原子からの発光であることが明らかとなった。 (4)ドイツ連邦共和国ユーリッヒ研究機構にあるプラズマ実験装置TEXTORにおいてモリブデンあるいはタングステンをリミッタとして実際に使用し、高Z材のプラズマに及ぼす影響を調べる一方、プラズマからの非常に高い熱負荷によりリミッタがどのように損耗あるいは損傷を受けるかを調べた。その結果、リミッタはプラズマ中の不純物によりスパッタされプラズマ中に混入するものの、プラズマのZ_<eff>などにおおきな影響を及ぼすほどには蓄積されていないことが分かった。これにより今後さらに高Z材をプラズマ対向材として実験を継続進展させていけることとなった。現在までの所高Z材を、実際に中あるいは大型のプラズマ実験装置でプラズマ対向材として使った例が少ないだけに、実機を使った実験の今後が期待できる。
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