研究課題/領域番号 |
05452401
|
研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
渡辺 興亜 国立極地研究所, 研究系, 教授 (60111861)
|
研究分担者 |
本山 秀明 国立極地研究所, 研究系, 助手 (20210099)
神山 孝吉 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (70135507)
藤井 理行 国立極地研究所, 研究系, 教授 (20125214)
|
キーワード | 南極 / 北極 / コア / 気候変動 / 環境変動 / 氷床 / フラックス / 物質循環 |
研究概要 |
1.南極氷床における環境示準物質のフォールアウト 東南極みずほ高原氷床の沿岸部から氷床頂上部にいたる地域で得られた積雪表層サンプルの化学主成分と、各地点での積雪年間涵養量から、環境示準物質のフラックスを求めた。塩素イオンは、海岸線から内陸300kmまでは距離とともに指数関数的に減少するが、内陸部では低いオーダーでほぼ一定となる。沿岸部では、海洋起源の海塩粒子として輸送されるが、内陸部ではガス状の塩酸などの寄与が考えられる。硫酸イオンは、海洋起源のイオンと非海洋起源のイオンとに分けられる。海洋起源のイオンは、塩素イオンと同様に、沿岸部で大きく距離と共に指数関数的に減少する。これは海洋微生物起源の硫酸であると考えられる。非海洋起源のイオンは、場所によらずほぼ均一なフラックスで、ガス起源の硫酸と考えられる。硝酸イオンのフラックスは、内陸に行くほど小さくなる傾向があるが、場所による変動が大きく、起源などは今後の研究課題である。 2.グリーンランド氷床における環境示準物質のフォールアウト 氷床コアを用いて、過去450年間の主要イオンのフラックスの変動の解析を進めている。これまでの解析結果は、産業革命以降降水の酸性度は増加し、特に、西暦1860年以降の硫酸イオンや1900年以降の硝酸イオンの増加が顕著である。また、世界大恐慌があった1930年代には、一時的に酸性物質の濃度の増加が見られ、人間活動による大気汚染の影響が強く現われるものとなっている。また、短期間の強いシグナルが、酸性度や電気伝導度に現われるが、これらは、北半球高緯度あるいは、赤道付近の大規模な火山活動に対応することが明かとなった。こうした火山シグナルはコア年代を決定する上でも有効なシグナルである。
|